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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第52章 11月(下旬)


朝起きると

ひんやりとした空気に包まれる今日この頃





黒尾さんとの秋を知らないまま、


黒尾さんの温もりを知っている冬が


もう、そこまで来ている。





季節が過ぎるのは本当にあっという間だ。





そんな中で面倒で先延ばしにしていたけれど


いい加減、衣替えをしなきゃと


今日の休みは衣替えを。





朝から布団を干して、

そして冬服を引っ張り出す。



クローゼットの入れ替えを行う中で





………あ





手袋が2つ





去年、クリスマスに黒尾さんからプレゼントしてもらった手袋と


借りていた、黒尾さんの

私にとっては大きすぎる手袋。





…………。





そっと、黒尾さんボックスへ





黒尾さんボックスというのは

黒尾さん関係の物の保管場所



そのまんま




黒尾さんのTシャツとか、スウェットとか



勝手に処分できない物もあるから、


とりあえず、黒尾さんを思い出すようなものは全部その中へ




一番上に手袋を置いて、


またそっとフタをする。





…………。





衣替えは一時中断




簡単な身支度だけ整えて

自転車をこいで、駅の近くのお洋服屋さんへ




とりあえず、その中から手袋を選んでレジへ持っていく。





「ご自宅用ですか?」



「はい」





短く返事をして、バッグの中に大切にしまう。


無くしてしまわないように。





今までの私だったら、去年同様

わざわざこうやって買いに行ったりはしなかったと思う。




だけど、毎朝


そして帰る時




手袋のない、寒さにかじかむ手に


黒尾さんを思い出したくなかった。





ただ、それだけ





気づけば季節は通り過ぎて、


黒尾さんと過ごした季節がまた

巡ってこようとしているけど。





たぶん、ふと



これから、黒尾さんを思い出してしまうことが

あるかもしれないけど。





大丈夫、大丈夫





私はちゃーんと、大丈夫。
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