インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第2章 新入生歓迎レース!
箱根学園の入学式から一週間あまりが過ぎたある日の放課後。
自転車競技部の新三年生、福富、荒北、東堂の三人は部室で顔を突き合わせて話し合っていた。
主将、福富が
「今年の新入部員は全部で20人近く集まった。
これが写真と経歴だ」
そう言って書類を広げるとふたりはそれを覗き込んだ。
「うむ。数としては十分だが問題は……」
「使えるヤツがいるかどうかだよな」
「そこまで排他的なことはオレは言っていないぞ、荒北」
「アア゛?!じゃあ何を言おうとしたんだよ?!
そーゆーこったろ」
ふたりが言い合いをはじめそうになった時、扉が開き男が入ってきた。
「新開!」
「よぉ、どうだろな、今年の一年は」
もぐっとパワーバーをかじりながら、新開は近くのイスに座った。
「そうだな。今日の1年走行会で走らせてみるまでは分からないが、オレがすでに読んだところ、真波山岳という新入生は中学時代から実績を残している。
第20回名峰ヒルクライム大会中学の部優勝、第6回ツール・ド・山海3位……」
福富が述べると、東堂が
「ほう、クライマーか」
と興味を示した。
荒北が
「確か入学式に遅刻してきたとかゆーヤツだろ?
どんなに筋が良くてもどーかと思うがな」
と毒づくと
「まだ1年ではないか!
欠点はこれから直していけばいいのだよ」
と東堂は応えた。
「なんかお前うきうきしてナァイ?」
その時また扉が開いた。
「先輩、1年生のウォームアップがもうすぐ終わります!」
「ああ黒田分かったよ。わざわざサンキュな」
「よし、ハコガク 行くぞ!」
4人は部室を後にし、西駐車場へと向かった。