第3章 えんぴつの気持ち
気が付けば、僕は箱の中にいた
11人の仲間とともに…
箱の隙間から初めて君を見た
僕らが入った箱を持って君は
「お母さんこれがいい」と母親にねだって
家に帰ると早速、僕らを取り出して
「これからよろしくな」って笑顔で話す…
「ずっと…一緒にいたい」と初めて思えたんだ
叶わないことも知ってるはずなのに
「ずっと使われたい」と初めて思ったんだ
笑顔のまぶしい…君に…
気が付けば、僕は短くなってた
11人の仲間とともに…
筆箱の中から君をずっと見ていた
最後まで大切に使ってた君は
「もう捨てなさい」と母親に言われ
ギブスをつけながら、僕らを見て
「今日でお別れだね」って泣き顔で話す…
「ずっと…一緒にいたかった」と初めて思えたんだ
叶わないことも知ってたはずなのに
「ずっと使われたかった」と初めて思ったんだ
大切に使ってくれた…一緒に君に…
気が付けば、僕は袋の中にいた
11人の仲間とともに…
「新しい鉛筆にも優しくしてあげてね?」
そういって僕らは…目を閉じた…