第14章 ※自分のために④
「伏黒くん、起きて」
夢の存在のくせに、俺のことを夢から追い出そうとして。
せめて夢の中でくらい、俺のこと見ればいいのに。
俺の願望の中ですら、綾瀬は五条先生しか見ていない。
(本当、ムカつく)
その顔が、俺のことだけ考えて染まる姿が見たい。
ダメだと分かっていながら俺は、綾瀬の手を握った。
「綾瀬……」
服の上から、硬くなった俺のモノに触れさせて。
綾瀬が、真っ赤に頬を染めたから。
その顔があまりにも魅力的で。
もっとその顔が見たくなって、顔を埋めたまま綾瀬の胸に手を伸ばした。
「ふ、伏黒く……っ、んっ」
香りと同じように、甘い声。
五条先生とキスしたアイツが零していた声――それが、夢の中で俺に向けられている。
「伏黒くん、ぁ、ねぇ……、んっ、起きてって」
こんな声を、毎回聞いてるあの人にムカつく以外の感情出てこなくて。
「ちょ、っと、ふし、ぐろ……くんっ!」
綾瀬の手をズボンの中に導いて、直にそれに触れさせる。
戸惑ったような手つきがもどかしくて、興奮が加速した。
止まらない感情に流されるように、俺は綾瀬の服の下に手を忍び込ませる。
肌を掠めるように滑って、ブラジャーに手をかけた。
「伏黒く、ん……っ、やだ、……っ、ね、起きて!」
――瞬間、激痛が全身に響いて。
「痛ぇ……」
目を開けたら、目の前には学ランのボタン。
「……何……これ」
顔面と、左手に触れる心地よい感触に違和感を覚える。
「柔らか……い」
視線を少し上げれば独特なセーラー服の襟。
「……。……。……綾瀬?」
さらに視線をあげると、俺の夢の中と同じくらい顔を真っ赤にした――俺の夢の中より可愛い顔した綾瀬がいた。