第2章 狼狽
「あァ。俺が高杉晋助だ。」
「...ァ?まだ口開けてんのか?」
「だ、だだだ...だっ、...て」
私は口を聞けなくなりそうだった
推しが目の前にいて、喋っている
その事実を受け入れるには時間がかかりそうで
まったくかからなかった。
私は話すことに時間がかかるだけだったらしい。
「あ、あ、あの、の...。な、なな、なんで、私の、家、に?」
「決まってんだろ。」
「惚れた女に会いに来た。」
「た、高杉、さん...の好きな女(ひと)が...」
「現代に?!」
「バカかてめぇは。」
「はい??」
「てめぇに決まってんだろ。」
「...」
「...」
「おい。起きてるか?」
「......え??」
「いや...え?いやいやいやいや、え??」
「うんいやそんなのありえないよねうんうんうそだよねうんうんいやもう幻覚だねいや幻覚と幻聴かなそれはもうこれは夢でうんたらかんたら...」
「......あ。すみません。もう1回言って貰っていいですか?私、理解できてなくて。」
「...お前が理解するまで、何度でも言ってやるさ。」
「惚れたお前に会いに来た。」
「.........マジですか。」
「ああ。」
「あの、とりあえず...」
「夜中なんで...着替えていいですか」
空気を読め、私。