第4章 覚悟
花巻side
インターハイ青葉城西は決勝まで駒を進めるもあと一歩白鳥沢学園に負けて惜しくも準優勝だった。3年生はもちろんほとんどの選手が涙を流し悔しがる。しかし水瀬は涙を流していなかった。
試合から帰り学校へ到着し今度は春高出場に向けて士気を高め解散となった。各自帰る支度を済ませていく。
(やべっ!ボトルカバンに入ったままだった。まだ水瀬いるかな?)
ボトルを水道で洗っていると思い水道の方へ向かうと泣き声が聞こえ見てみると水道のところで丸くなりながら泣いてる水瀬の姿があった。
「水瀬大丈夫か?」
水瀬は肩をびくっとさせると手で目元を拭い何事もなかったように笑顔を見せた。
『なんのことですか?あ、ボトル洗いますよ!』
水瀬は俺からボトルをもらうと何事もなかったようにボトルを洗い始めた。うっすら見えた水瀬の目元は赤くなっている。
「っ…!泣いたこと隠さなくてもいいんだぞ…。周りは俺しかいないから」
『何言ってるんですか、花巻先輩。私泣いてないですよ』
「嘘つくなよ。目元赤くなってるじゃねーかよ。なんで隠すんだよ!」
水瀬はボトルを洗い終わると水道の水を止め静かに言った。
『私はマネージャーになって選手の前では絶対に泣かないって決めました。前にお父さんに言われたんです。マネージャーになるなら絶対に選手の前では泣くなって。マネージャーが泣いたら選手が自分を責め自信をなくすから。支える側になるならそれに徹する覚悟を持ちなさいって。だから私は絶対に選手の前では泣きません』
水瀬は真剣な顔で俺にまっすぐ向き合った話した。『さっ戻りましょ!』とすれ違おうとする水瀬の腕を俺はひっぱり水瀬を抱き寄せ頭に手を置く。
『は、花巻先輩⁉︎』
「泣いていいぞ。今は俺が水瀬を支える側になるから。悔しいなら俺の前で泣け。これなら俺も泣き顔も見えないし誰も見てない。だから大丈夫だ」
そういうと水瀬は『ごめんなさい』と小さく呟き涙を流した。「大丈夫だ」と返して水瀬を落ち着かせた。