第3章 波羅夷空却 3
小さいころから元気いっぱいで、乱暴な感じだけど、情に厚くて曲がったことが大嫌いな空却
今日、くうちゃんのお母さんから、ラインが入った
空却がケンカをして、相手の人をボコボコにしてしまったらしく、警察に連れていかれたの。とりあえず、警察に行ってくるから、話は後でね
ケンカ…くうちゃん、強いけど、そんなに、ボコボコにするとか考えられない
何か、理由があるはず…
放課後、とりあえず、お寺へと向かう
まだ、誰も帰ってないようで、留守番の僧から客間へ通され、待つことにする
「美月ちゃんっ来てくれてたのねっ」
勢いよく襖があき、○○さんが入ってきた
「○○さん、くうちゃん、どうでした?ケガは?」
「空却は、無傷よ、あの子ケンカ強いから」
「何が原因ですか?理由なく、人を怪我させる人じゃないですよね?」
「それが、あいつ、何もしゃべらない、黙秘だそうだ」
「灼空さまっ…」
「全く…あいつは、何を考えているのか。美月ちゃんのことも考えず」
「きっと、何か理由があるはずですよ。だから、灼空さま、くうちゃんを怒らないで下さい」
「…だがな、美月ちゃん、ここは寺だ。他の僧に示しがつかん」
「私が…私がくうちゃんの代わりにお掃除します。読経はできませんけど、お掃除、させてください。お願いします」
深々と頭を下げる美月に、夫婦は何も言えず、美月の申し出をうけることにした。
翌日から、学校へ行く前と、放課後に美月は庭の掃き掃除と、廊下の雑巾がけをする
その日は学校が早くおわり、早めに掃除に来ていた
そこへ、寺にミスマッチなリーゼントにスーツの男性がやって来た
灼空の客だそうだ
「天国先生、この度はお世話になります」
「いえいえ、イジメやるヤツをこらしめるためなら、何だってやる、気にしないで下さい」
「まさかあのバカ息子がイジメの加害者を殴っていたとは…」
「なかなか出来ることじゃない、さすが灼空さんの息子だ…」
「いや、バカ息子だ、後先考えず、ケンカして…はぁ…」
「最近は女の子も修行するんですね、ほら、あの子」
「あぁ、あれはバカ息子の彼女ですよ。自分が代わりに掃除するから、破門しないでくれと」