第9章 生命と選択
それから、半年。
白哉は婚姻の儀式を行わずに、美穂子との婚姻手続きを先に済ますこととなった。
四大貴族とは思えぬ状況に、周囲の反対は大きかったが美穂子に子がいることを知ると掌を返したように周囲は祝福の言葉を送った。
その変わり身に白哉は不快感を感じたが、美穂子は苦笑を浮かべて「仕方がない」と笑っていた。
四大貴族の当主にいつまでも子がいないというのは、周囲から見れば異常なのだ。
それでなくとも朽木家の当主は歴代死神を勤めている。いつ命尽きるかわからないのだから、子ができたとなればそれが最優先されるのは仕方がないことだった。
ともあれ、婚姻手続きを済まし、晴れて夫婦となった二人は連れ立って四番隊や十二番隊に出かけることが多くなった。
美穂子はまだ未知なことが多く、どうしても専門家が定期的に検診を行わなければならない。ましてや、妊娠と言う女性の身体にはかなり負担を強いる状況なだけに。
毎週一度、おなかの中の子供と母体である美穂子の検査を行い、安心を確認する。
それが、半年のうちに日課のようになった。
徐々に大きくなるお腹は白哉の心を癒し、美穂子の心を満たす。
それは、確かに幸せな日々だった。