第9章 生命と選択
「美穂子。私と―…生あるかぎり、添い遂げてはくれまいか」
「え? …っ?!」
静かには美穂子を見つめると、美穂子の身体をふわりと抱きかかえると、泉の近くに座らせた。
美穂子はびっくりしたように白哉を見ると、白哉は静かに美穂子の前に傅いた。
「び、白哉!?」
慌てて白哉を立たせようと腰を上げようとする美穂子を制して、白哉は美穂子に片手を差し出した。
「私と、婚姻を結んでほしい」
「!!」
美穂子は目を見開いた。
―…夢なのだろうか。
子ができて、夫婦と言う形に焦がれた自分の叶わぬ夢を見ているのだろうか。
月の光の中で―…美穂子はそれが現実か夢のなのかわからなくなる。
「美穂子が、自分の存在に不安を感じているのは知っているつもりだ」
白哉の言葉に、美穂子の身体が震えた。
「例え、有限の時であっても―…私は美穂子が欲しい。我が妻として、隣に」
「……っ、びゃく…や…っ」
「愛している。美穂子、共に歩んではくれまいか」
「……っ、は…い…っ」
あなたには幸せになって欲しかったの。
たくさんの重圧や責任、たくさん過去に苦しみを持っているあなただからこそ。
私では、きっといつか…またあなたに苦しみを与えてしまうから。
だけど―…あなたがもし、それでも私を選んでくれるのなら。
私はあなたの手を取りたいと―…願ってしまった。
罪深い私を許してください。
あなたを永遠に愛し続けると誓います―…だから、神様。
どうか。この愛を貫くことを―…許してください。