第9章 生命と選択
白哉が朽木邸に戻ったのは、夜も遅い時間だった。
結局食事は共にとれず、風呂も終わり、美穂子は静かに彼の帰宅を待っていた。
玄関周辺が、少しざわめいて。
美穂子は白哉の帰宅を知ると、大きく深呼吸をして立ち上がると部屋を出た。
外には―…満月の月が明るく空を照らしている。
「今、帰った」
美穂子は白哉の声に、月から自分の目の前にいる白哉へと視線を向けた。
今帰ったばかりということもあって、隊長の印でもある白い羽織を着ている。
その姿は凛としていて―…とても逞しかった。
「美穂子、少し―…散歩に出ぬか」
「―……はい」
美穂子は一瞬考えて、こくりと頷いた。
これはいい機会かもしれない。
(子供のこと―…言わなきゃ)
美穂子は白哉の後について、夜の散歩へ出かけた。