第9章 生命と選択
美穂子は、目を開けた。
「また―…夢」
今までとは比べ物にならないくらいの鮮明さの夢だ。
姿も見えたし、何より正体も明かした。
(白い―…龍)
水神と言っていた。
一体―…何の夢なのか。
美穂子はゆっくりと身体を起こして、眉を顰めた。
身体がだるい。
風邪でも引いたのだろうか。
美穂子はぼーっとした頭のまま、起き上がると寝着から着物へと着替える。
今日は十番隊に勤務する日。
後しばらくすれば、日番谷隊長が迎えに来るだろう。
「美穂子様、お食事のご用意が整っています」
部屋の外から声が聞こえて、そういえば今日は白哉が討伐に出かけていていないことを思い出した。
同時に、あまり食欲もない。
「―…申し訳ないけど、今日はいりません」
「具合でもよろしくないのですか?」
「えぇ…食欲がなくて。ごめんなさい」
「わかりました。では、お弁当にいたしますのでお昼にお食べください」
「ありがとう」
美穂子が礼を言うと、使用人がぱたぱたと走り去った。
美穂子は小さなため息と共に、着物を着つけると化粧をする。
鏡に映る自分は―…少し顔色が悪い。
これでは迷惑をかけてしまう。
美穂子はいつもより少し頬紅の量を増やし、顔色を調整した。