第4章 瀞霊廷の生活
白哉の言葉に、恋次はちらりと美穂子を見た。
美穂子はにっこりと微笑んで、書類を指示された机に置いた。
「あ、私は藍野美穂子です。えーっと?」
「阿散井、恋次だ」
「じゃあ、阿散井さん。よろしくお願いします」
「お、おぅ…」
美穂子はもう一度にこっと笑って、作業台の上に置いた数センチの束を見た。
半紙のような薄手の紙は、白哉の言うとおり何種類かの赤い印が押されている。
赤い印を確認しながら、美穂子は印のついていない書類の題名を確認して分けていく。
結果的に赤い印のものは、全部で5種類。
印のついていない書類については、先ほど簡易的に分けておいた束ごとに一つ一つ内容を確認して、さらに分けていく。
薄い紙はちょっと強めに扱えば切れてしまいそうだ。
そうしないように、美穂子は丁寧に書類に目を通していく。
(あ、この報告書…題名と内容が一致してないなぁ…結論も最後に書いてあるし。これじゃ、報告書って言えないような…後で聞いてみよ)
美穂子は首を傾げて、そういった不備のある書類を弾いていった。