第3章 8年後
繫華街の雑居ビル
地下にある寂れたゲームセンターに
セツナが入って行く
一番奥の一角にたむろしている少年少女に近づくと
その中のひとりの腕を掴んだ
『…!…』
「…リン……帰るぞ…」
『…は?…何言ってんの?私はまだ帰らな…』
リンの言葉には耳を貸さず
セツナは黙ったままリンを引っ張り階段を登っていった
『痛っ!…ちょっと!離してよ!』
外に停めた車の助手席に座らせ
ドアを閉める
運転席に戻ると
さっきまで騒いでいたリンはおとなしくなり
ただ憮然とした表情で前を見ていた
セツナはエンジンをかけ
車をスタートさせた