第1章 prologue
───西暦XXXX年 アジア・トーキョー
数年前に打ち出された政府の政策により
大都市を中心に海外からの移住者は爆発的に増えた
減り続ける一方だった生産年齢人口の割合が
この年、僅かながら回復したため
少子高齢化に歯止めをかけたと与党は必死にアピールしていた
しかしその裏では、土地や物価が高騰
就職難による貧富の差も一層激しくなり、治安の悪化など別の問題が次々に湧き上がっていた
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高速を走る一台のリムジンの中で
2人の男が話をしていた
ひとりは"暁 辰彦"
この街に大きな派閥を持つマフィア『暁辰会』のボス
もうひとりは
辰彦の幼馴染であり右腕でもある"沢村 亮二"だった
「……ボス………改めて……お子様の誕生…おめでとうございます…」
「……ありがとう……リンをこの手に抱いた時…決意したよ……何があっても守ると…」
「……すっかり父親の表情ですね…」
「…ハハ……この私が…な………自分でも信じられん…………沢村……お前の所は…男だったな……」
「…ハイ…」
「………もう…半年になるのか…………あのことは…本当に残念だった……」
「……ハイ………でも……自分の命と引き換えに…アランを産む選択をしたのは…彼女です……」
「……何か困ったことがあれば遠慮せず言ってくれ………忘れ形見共々…お前は私の家族同然なのだからな…」
「…ありがとうございます…」
「…オイ……本当に家族になるのはどうだ?…アランを…ウチのリンと結婚させるんだ…」
「………ボス…………産まれたその日に結婚の話ですか?………クスクス……先が思いやられます…」
リムジンに
男達の笑い声が響いた