第8章 別れ
マンションの最上階
ドアを開けたリサが
逃げ込むように中に入ると
玄関にサトルの靴があった
『……』
リビングのドアが開いて
サトルが笑顔で顔を出した
「…おー…リサおかえり」
『……………ただいま…』
「…明日から地方で撮影だから…荷物取りに戻ったんだ」
『……そう…なんだ…』
「………リサ…………どうした…?」
『……』
「………顔色が良くない…」
そう言ってサトルは
リサの両頬に手を当てた
『………っ…』
リサは
その手を払うように下を向くと後ずさった
「……リサ…?」
リサは下を向いたまま
震える声で言った
『………サトル……………私……ココ…出てくね…』
「………ぇ…………出てく…って…」
『……………家に帰る…』
「………リサ…………何が…あった…」
『……別に……何も無いよ…』
「……じゃ……どうして…急にそんな事……」
サトルの問いに
リサは強く瞳を閉じた
『……』
「……リサ…?」
『………なんか……もう…疲れちゃったんだ………サトルとの…恋人ゴッコ…』
「……」
『………だから……もう…おしまいにしよ…』