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【twst】ルーク成り代わりは自由に生きたい

第4章 そんな貴方が一番美しい


『なんだその品のない格好は!!今すぐ着替えろ!!メイクも落とせ!!』

『は、はい……』

『あの下品な奴とも縁を切れ!!わかったな!?』

『ユ、ユキは口は悪いけどいい子だよ!!』

当時大好きだったビジュアル系バンドがライブをやると聞いて居ても立ってもいられず、習い事をサボって友達とライブへ参戦した。
女らしさや色気とは無縁の黒いファッションに身を包み、濃いアイメイクをした。
同じくV系が好きな友達のユキと行ったはいいけど、習い事先がうちに連絡して私がサボっていることがバレた。
そんで、私を捜しまわっていた父に運悪く見つかって強制送還。で、今に至る。

『全く、何故俺の娘はこんな出来損ないなんだ……!これではお前の未来の夫に顔向けできんぞ』

あぁ〜いましたね。婚約者とやらが。一度も会ったことないけど。
大学卒業後すぐに籍入れるとかなんとか抜かしてたけど、そんなの私が了承するとでも思ってんの?……いや、私の意思なんて関係ない。この人はそうだった。

『貴女……どうしてお父さんの言うことが聞けないの?私が後でどんな目に遭うかわかってるの……?』

ボロボロと泣くばかりのこの女性は私の母。
いつも父の言いなりで、自分の意思では何も出来ない。まさに「いい子」が正義として育てられたって感じの人。

『お父さんだって意地悪で言ってる訳じゃないのよ。貴女のことが大切だから言ってるの』

そりゃ大切だろうよ。自分の地位と立場がかかってんだから。

『私も貴女を愛してるわ』

だから、おとなしく言うことを聞いてちょうだい?
そう言った母の目はどんよりと濁っていて私を映してはいなかった。
母のことは嫌いではなかったけれど、父の操り人形になってる姿はとても哀れだった。




「ああ」はなりたくない。
心底そう思った。


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