第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
「五条先生……!」
改造人間が詰められた電車が渋谷に向かった。
その推測に至り、虎杖は慌てて線路へ下り、渋谷へ向かおうと踏み出す。
「待つんだ、虎杖君。不用意に動くのは危険だよ」
「けど……!」
焦る虎杖を追いかけて線路に下り、冥冥が止めてきた。
「姉さまの命令が聞こえないのですか?」
不愉快そうに眉をしかめ、憂憂もやってくる。
そこへ、唐突に何かが左耳にぶつかり、虎杖は思わず「おわっ⁉」と声を上げた。その声に冥冥と憂憂も振り返る。
「どうしました?」
「いや、何か耳に……」
左耳に触れると、固い感触が伝わってきた。まるで片耳だけのヘッドホンのように、左耳がスッポリと覆われている。
『聞こえるカ? 虎杖 悠仁』
イヤホンから声が聞こえた声に虎杖は思わず動きを止めた。
なんだ、この怪しいブツは……。
『よく聞……ッ』
思わず外して握り潰そうとすると、『待て待て待テ!』と慌て出す。
『味方だ バカ! 京都校のメカ丸だ‼』
メカ丸?
確か、京都校に潜んでいた内通者だ。ますます怪しいな。
だが、どうやら攻撃の意思はないらしい。
まぁ、こんな姿では攻撃することもできないかもしれないが。せいぜい自爆して耳を破壊するくらいか。
そんなことを思っていると、「どした どした」と冥冥や憂憂が近づいてくる。
『時間がなイ。一度で聞き分けロ』
そこで一旦 区切り、メカ丸は固い声音で続けた。
『――五条 悟が、封印されタ』
ガツンッと頭を殴られたような衝撃だった。