第30章 アルティソナンテに膨らむ想い【起首雷同】
「よし!」
「【かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを】!」
『ギャアァァアァァ――――ッ⁉︎』
術式開示で威力を増した炎が音を立てて血塗を呑み込んだ。
はぁ、と詞織は肩で大きく息を吐く。
よかった……あとは、虎杖と釘崎を……。
『アァァアァァ……ワハッ!』
――【蝕爛腐(しょくらんふ)術 朽(きゅう)】
ゾワゾワゾワッと背筋が粟立った。腕や手には薔薇のような花の痣が現れる。順平も顔から首、手などに花が現れていた。
意識が逸れたことで、炎が消える。
「なに、これ……」
すると、血塗はニタニタと腹が立つ笑みを浮かべていた。
『どうだぁ、俺の術式は? 粘膜、傷口から俺の血を取り込んだら、侵入箇所から腐蝕が始まる。おまえら二人とも、十分後には骨しか残らねぇぞぉ!』
「くっ……」
どうする?
せめて、順平だけでもどうにか……!
けれど、彼もすでに術式の範疇にいる。
十分……だが、術式の開示で早まっている可能性も高い!
すぐにでも祓わないと、二人とも死んでしまう!