• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第15章 思惑の入り乱れるカンタータ【固陋蠢愚~殺してやる】


 真人の素手が、虎杖の腹部に触れる――……けれど、虎杖は異形に変貌することなく、真人の頭を掴んだ。

「代わんねぇよ……言ったよな。ブッ殺してやるって」

 呻くようにして呟いた虎杖は大きく背中を反らし、勢いよく顔面に頭突きを食らわせた。

 何度も。

 何度も何度も。

 何度も何度も何度も。

 顔の形が変わるまで繰り返す。

 そして、放り投げるようにして解放し、続けざまに回し蹴りを繰り出した。

 その光景を前に、星也は恐ろしさすら感じる。
 もはや、どちらが呪いなのか分からない。
 それほど、虎杖の表情は怒りに歪んでいた。

 友を手にかけられそうになったから……?

 虎杖にとっての友人や仲間というものは、己の命を懸けるに値するというのか。

 そこで、星也は思い至る。
 虎杖は祖父を喪くしていたはず。つまり、命を喪失する重みを、彼は知っているのだ。

 異形を切り裂く。その度に軋む心を、星也は意識して無視した。

 虎杖と対峙していた真人が一瞬にして彼の背後を取る。腕を金棒のように作り変えた真人の腕を、星也は天枢で斬り落とした。

「星也さん……!」

「無茶しすぎだよ。遅くなった僕も悪かったけどね」

 虎杖の隣に立ち、星也は真人を見据えた。
/ 381ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp