第54章 残虐なるヴィルトゥオーゾ【渋谷事変】
「――行かなきゃ」
戦わなくては――このままじゃ自分はただの……。
――人殺しだ。
虎杖の顔から表情が消えた。
――「俺はオマエを助けたことを、一度だって後悔したことはない」
伏黒の言葉が重たくのしかかった。
そんなの嘘だろ。
この景色を見たら。
宿儺のやったことを知ったら。
伏黒も、詞織も……絶対に自分を責める。
戦うんだ。
助けるんだ。
一人でも多くの命を。
そんなことで償えるわけではない。
それでも、一つでも多く救われた命があれば……助けた意味があったと、二人の罪の意識も少しは軽くなるかもしれない。
逃げない。
“自分で”死んで逃げようなどと思わない。
だから……。
――誰か、俺を殺してくれ……。