シロイ、ヒカリ / Hunter×HUNTER カイト夢/
第15章 どんなに、なっても
……雨、か。
降り出した雨が、俺を、大地を、
目の前の敵を、濡らしていく。
地面に転がった俺の腕にも、雨は降り注ぐ。
痛みは、既にない。
左腕でクレイジースロットを構え、正対する。
「へぇー、そんなこともできるんだ♪」
目の前の敵が、楽しくてたまらない、というように声をあげた。
…こんなところで、やられてたまるか。
身にまとった円のオーラを、一点に集中させる。
この化け物を確実に、仕留めるために。
俺はまだ、成し遂げていない。
ジンさんを超えることも。
ケイのそばに、いることも。
何もかも中途半端だ。
目の前の敵の目が光る。
跳躍するように、身体を縮める。
俺は、
こんなところで死ねない。
必ず。
必ず、帰る。
あいつのもとへ。
ケイのところへ。
「いっくにゃー♪」
化け物が跳躍する。
俺の腕を奪った鉤爪が迫ってくる。
ケイ。
俺は。
どんなになっても、
必ず、おまえのもとへ帰る。
だから…
待っていてくれ。
俺たちの家で。
俺の、帰りを。