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シロイ、ヒカリ / Hunter×HUNTER カイト夢/

第13章 シロイ、ヒカリ





「そろそろ行くぞ」

「はーい。
…じゃ、ケイ。今、説明したこと忘れないようにね」

まったねー、と手を振って、スピンが翼飛竜の方に歩いて行った。

カイトがそのままじっと私を見つめている。
私も、目をそらさずに見つめ返した。



今、少し離れるだけ。

なんども繰り返してきた別れ。
だから…平気。




「…ケイ」

ゆうべ、ベッドで繰り返し呼ばれた名前。




「…カイト」

繰り返し、想いを込めて呼んだ名前。




「行ってらっしゃい、カイト」

笑顔を浮かべて見送る。
いつものように。


カイトが少し目を見張ってから、ゆっくりと微笑んだ。

「あぁ。行ってくる」

と、身をのりだすと、服の上から鍵をつついた。

「無くすなよ」

「っ…絶対、無くさないわよ」

鍵の上に手を置くと、その上にカイトが自分の手を重ねた。
見上げた私の唇に、軽く唇が重なる。
遠くで、ピューッと口笛が聞こえた。


「なるべく早く帰る。
…待っていてくれ」


「…うん。
待ってる、から」






ばさっ、ばさっ。

翼飛竜が飛び立ち、辺りに風が吹き荒れた。
ゆっくりと上昇していく。
スピンとスティックが手を振り、私も振り返した。
ただ静かに見つめるカイトから、目をそらさずに。


翼飛竜が飛び去っていく。

カイトは最後までずっと、
私を見つめていた。
私も目を離さなかった。




2つの点になり、そして青い空だけが残っても。

私の目には、
カイトの白い姿が焼きついていた。


























それが、白い髪のカイトを見た、
最後だった。




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