シロイ、ヒカリ / Hunter×HUNTER カイト夢/
第12章 そして、旅立ち
「やれやれ…
これじゃ先が思いやられるわねー、ケイ」
「え…
あ、う、うん」
「顔、真っ赤よー♪」
「………!」
たしかに今までスティックにハグされても、カイトからは何もなかったのに。
なんだか…ドキドキしてしまう。
でも、こんなことでさえも嬉しい。
「さて、と…それよりも…」
背中のバッグを下ろしてゴソゴソと探っていたスピンが、あったあった、と言って、こちらに小さな錠剤を差し出した。
ビニールに包まれた、白い薬。
「はい、コレ飲んで」
「なぁに、この薬?」
受け取ってみても、ビニールにも薬にも、何も書いていない。
「アフターピルよ」
「アフター…えっ?!」
スピンの言葉に、思わず大きな声が出てしまった。
翼飛竜たちがその声に驚いたように、翼をバサバサして高い声で鳴いた。
「しーっ。驚かせちゃダメ」
「ご、ごめんなさい。
でも、どうして…」
口を押さえて小さな声で問いかける私に、スピンが変わりない口調で言った。
「朝1番にカイトから電話があってね。
前にスティックから、私がアフターピル使ってるって話を聞いたらしくって、分けて欲しいって言われたのよ。
…まぁったく、男ときたら抑制効かないんだから」
平然と話すスピンに、開いた口が塞がらない。
「え、カイトが?
え、スピンって、その…
あの、そんなにしょっちゅう…ピル、使ってるの?」
「質問だらけねー。
そ、カイトからよ。
それと、ま、スティックとは長い付き合いだから。
借金返してお互いその気になったら、飲むのはやめるつもりだけど、ね」
普通に答えるスピンが、なんだかいつもと違ってみえる。
手の中のそれをまじまじとみていると、スピンがニヤリと笑った。
「あのカイトも理性飛ばすこと、あんのね。
びっくりしたわよ」
「っ……えっと、あの、その…」
「…ケイ、もしかして……
直接されるの、初めてだった?」