第3章 酔った勢い
『お前……ふざけんなっ!!なんのつもりだ…』
桜雪は顔を真っ赤にしながら実弥を睨みつけているが瞳が潤んでいてなんの効果もない。
『そんな顔すんじゃねェ…お前の噂は聞いたことがある。男を誘ってヤリまくってるらしいじゃねェか…その男共にもそんな顔してんのかよっ!!』
『お前になんか…関係ないだろっ!!お前に…あたしの何が分かるって言うんだよっ!!』
『っ!!』
桜雪は実弥の腹に膝蹴りをした。
怯んだ隙に桜雪はその場から逃げ出した。
その後は桜雪は実弥を無視し続けた。
任務中も任務が終わっても桜雪は無視をしていた。
『おい。』
『……』
『無視すんじゃねェっ!!』
『………』
『聞いてんのかよっ!!』
『なに?触んな。見るな。話しかけるな。』
桜雪は実弥を睨みつけて去っていった。
そんな関係が続く中…
粂野匡近という隊士が合流することになった。
仲良く実弥と話す匡近。
『天晶さんは実弥をどう思いますか?』
『どうって…なんだよ。』
『男としてです。』
『別になにも。あたしはアイツに男としての興味なんてない。』
桜雪は自分でそう言って酷く心が痛んだ。
今はこれでいいんだ。
自分は鬼なのだから。鬼嫌いの実弥には不釣り合いなのだと思っているのだから。