第4章 忘却プロミス!
オクタヴィネル寮へと帰る為、鏡の元へ向かう。足取りは非常に軽かった。そんな彼女が来た道を、急ぎ足で追ってくる二人組がいた。エースとデュースである。おーい と自分を呼ぶ声に、エリーは足を止めた。
「エリーー!ちょっと、待ってくれ」
「はー、やっと追いついた。お前、陸地初心者のくせに歩くの早くね?」
『二人は…うん、なんというか、歩きにくそうだね』
エリーは二人の首元へ、憐れみの目を向けた。
もっと他に言いようはないのか。と愚痴る二人だったが、やがて彼女を追い掛けて来た理由を口にする。
「えっとさ。その、さっきは、オレらの為に寮長とやり合ってくれてありがとな」
『御礼なんていいよ。友達なら、何かしてあげたいと思うのは当然でしょ?』
「エリー…っ!く、僕はなんて良いダチを持ったんだ!」
「おーいデュースくーん?最後の最後で軽〜くオレらのこと捨てたこいつの所業忘れたか?」
『それに関して言えば、ちょっとだけ反省している!』
「お前ってさ、友情より恋愛を取る奴の典型だよな」
エースの言葉を、全く否定出来ないエリーであった。
「だが、さっきのタイマンは見ていてこっちまで滾(たぎ)っちまったぜ!まさか寮長相手にあそこまでやれるなんて、誰も思ってなかっただろうしな」
「まぁ、確かにあれは出来過ぎだったよ。でももし次またあぁいう機会があったら、今度は戦うなよな。お前がリドル先輩に首はねられるとこ想像してヒヤヒヤしたわ」
『おぉ、エースが珍しく優しい言葉を。明日は空からキャンディでも降るのかな』
「お前ねー、人がせっかく心配してやってんのに!」
エースはチロリ と、横目で睨みを利かせた。そんな彼に、エリーは笑いながらも謝罪するのだった。