第21章 冒険ゴールイン!
不気味な扉は、ぎぃ…と不気味な音を立てて開いた。
『わぁ。予想通りの人物が、予想通りの胡散臭い笑みを浮かべてカウンターの中にいる』
「胡散臭い、とは失礼ですね?エリー、今日も愛しています」
『……』
「どうしましたか?マンボウが水鉄砲を食らったような顔をして。今日も愛していますよ」
耐え切れなくなったエリーは、斜め後ろのイデアにぐりんと顔を向けた。
『なんですか奴は!息を吐くように告白してくるんですけど!』
「あー、まぁ…このゲームを作ったのはオルトであるからしてー」
『なるほどつまり、このジェイドがオルト君が見た現実世界のジェイドそのままなわけですね?』
「わけですね」
あちらの世界に戻れたらオルトの誤解を解こうと考えたエリーだが、よくよく考えるとあながち誤解でもないなと思い至るのであった。
『いやそんなことより。ジェイド』
「はい」
『ここは、きのこ屋で間違いない?』
「ええ。レア物きのこから平凡なきのこまで、ありとあらゆるきのこを取り揃えています」
『買い取りは?』
ジェイドはにんまりと両目を歪めて、もちろんと頷いた。エリーは早速、カウンターの上に持っている全てのきのこを並べていく。途端に彼は、細めていた目をカッと見開いた。
「こっ、これは!!なかなかお目にかかれないレア物ばかり!あぁ、やはり貴女は僕の好みを完璧に理解してくださっているのですね」
ジェイドはオートで盛り上がっているが、そんなことはない。ただ、毒々しい色の物を雑に選りすぐってきただけなのだから。そんなことより!と、エリーはカウンターに両手を突いてジェイドに詰め寄る。
『全部でいくらになる!?』
エリーとイデアは、悠々とした足取りで宿へと舞い戻った。片眉を釣り上げるジャミルの前に、手に入ればかりのドルマを掲げた。それは札束、とまではいかないまでも、立てられるほどの厚みがある。
「……いらっしゃいませ、お客様。ただいまお部屋にご案内いたします」
美しまでの笑顔を浮かべるジャミルの目も憚ることなく、二人は渾身のハイタッチを決めた。