第2章 獲得フレンド!
フロイド・リーチの今朝の目覚めは、最悪であった。それもそのはず。彼が目を覚ましたのは、床の上だったからだ。無論、布団を被っているはずもなく、肌寒い。が、彼は寒い地域の出身である為、そんな程度では風邪など引かない。
しかし硬い床の上で転がされていたので、体のあちこちがミシっと痛んだ。
軋む関節に鞭打って身体を起こしてみる。すると、自分のベットであるはずの場所で、愛しい人が我が兄弟に抱き締められ寝息を立てているではないか。
殺意を覚えるに容易かった。
彼は無言でジェイドをベットから蹴り落とし、エリーを搔き抱いた。
「いたたた…酷いじゃないですか」
「ひでーのはどっちだっての。身体バキバキなんですけどー」
『…んぅ』
エリーは、フロイドの腕の中で起床した。まだ開き切っていない目で顔を上げると、にちゃりと笑うフロイドと目が合った。
「おはよぉ人魚ちゃん。よく眠れた?」
『ん…お陰様で。おはよう』
「え、もう起きちゃうの?つまんね。あと五時間ぐらい良いじゃん」
『良いわけないでしょ!遅刻しちゃう。今日は、記念すべき私の初登校の日だよ!』
「張り切っていますね。とても良い顔をされています」
エリーは、ありがと。と礼を言ってから、洗面台で水を一杯汲んだ。そして懐から錠剤を二粒取り出す。これはアズール特製、例のサプリメントだ。昨夜飲んでいなかったことを思い出し、早速 口へ含む。
「おや。そのサプリメント、まだ服用していらっしゃったのですね」
「飲まない方が良いんじゃね?アズールから聞いたんだけど、副作用あるって。
えっと、なんだっけー…。あ!そうだ〜、おっぱいが大きくなんないとかなんとか」
『っっぶ!!』
エリーは、錠剤ごと噴き出した。
『な、なんってもん飲ませてくれてるのアズールは!!』
「アッハ。大丈夫だって」
フロイドは、エリーの胸にぺたりと手を当てる。
「ほら、ね。人魚ちゃん、ちゃぁんとあ」
理由は割愛するが、フロイドは再び床へ突っ伏した。
『じゃあね、二人とも!また後で!』
「はい。ではまた」
エリーは、元気良く二人の部屋を飛び出した。