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モストロ海底譚【ツイステ】

第8章 逢引ブロック!①




エース・トラッポラは、今が授業中であるにも関わらず、内容に集中出来ていなかった。教師の話もそっちのけで、隣に座る友の顔を眺めていたのだ。
その友達は、エリー・アルマーシ。彼は、改めて彼女についての情報を整理する。

エリーは、この学園でたった一人の女生徒である。年上の男性をこよなく愛す、性格に難のある人魚族。学業には比較的 真面目に取り組んでおり、その為か成績は優秀だ。しかしながら、性格には難があると言わざるを得ない。

それから、周りに侍(はべ)らせている者も特殊である。オクタヴィネル寮長に始まり、学園では知らぬ者のいない暴れん坊の双子にも愛される。
そして ここ最近の話で言えば、あのレオナまでもを数に加えた。さらに驚きなのが、誰もが一線を引くマレウスと、なんらかの関わりがあるらしい。

この錚々(そうそう)たるメンバーが、一体どうして。この性格に難のある女のどこに惹かれて集まっているのであろうか…


『エース』

「うおっ。な、なに?」

『そっちこそなに。さっきから人の顔じーっと見つめて。なんとなーく脳内で、超失礼なこと言われてるような気配を察知したんだけど』

「気のせいでしょ」

『…そう?じゃあまぁ、気づかなかったことにしといてあげる。私、優しいので』


エースは顔を前に戻して、やはり彼女の性格には難が付き纏うなと感じた。


『デュース。そこ、計算式間違ってる』

「え、本当か?」

『うん。消しゴム、ある?ここはね、まず最初に…』


間違いなく、難はある。が、それを補って足りるくらい、良い所があるのをエースは知っていた。

邪魔そうな横髪を耳にかけ、デュースに問題の解説をするエリーを、ぼんやりと眺める。そしてまた一人、思い耽る。


「……」
(オレは、欲しいなんて思わない。友達のままでいい。だって、面倒で辛い想いするのなんか目に見えてる。好きに、なったって)

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