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モストロ海底譚【ツイステ】

第7章 旧友ブレイク!




フロイドに手を引かれ歩いていたエリーは、その手をやんわりと押した。


「人魚ちゃん?」

『ごめん、えっと、忘れ物!先に行ってて!』


彼らの制止を振り切って、彼女は元来た道を駆けていく。やがて、その背中を見つけた。


『レオナ先輩!』

「!
なんだ?やっぱり気が変わって、うちへ来る気にでもなったのか?」

『いえ、全然。強引に連れて来られた事も、犯罪まがいの監禁も、結構根に持ってます』


笑顔で言い放つエリーを前に、レオナは鬱陶しそうに髪を掻き上げた。


『でも、優しくしてもらったのも事実だから。弱音を聞いてくれて、アドバイスまでしてくれたのも、本当だから。それに対しては、ちゃんとお礼が言いたくて。ありがとうございました。

それに…いつか来る、私が戦わなくちゃいけない日に、力を貸してくれるって約束してくれたじゃないですか?
私、とても嬉しかったです。えへへ、頼りにしてます。レオナ先輩!』


あと、ラギー先輩とジャックを、あまり叱らないであげてくださいね。じゃあ、おやすみなさい!
そう残して、エリーは今度こそ、レオナの前から姿を消した。

その現場を密かに目撃していたラギーは、レオナに問う。


「あの子、あぁいうとこあるッスよねぇ…。天然なのか、分かっててやってんのか。もしかしてレオナさん、グッと来ちゃったりしました?」

「…お前をあまり叱らないでくれってあいつの願いは、聞き届けてやれそうにねぇなぁ。ラギー?」

「そりゃないッスよ レオナさーん!」




長い一日だった。自室へ帰り着いたレオナは、疲れた体をベットへ沈めた。よれたシーツからは、ほんの少しだけ甘い匂いがする。

ただの戯れのつもりだったが、どこで計算が狂ったのだろう。

明らかに広くなったベット。さっきまで温もりがあった場所を、一人静かに撫でてみる。

溜息を吐いて瞳を閉じてみれば、いつもよりも騒がしい心臓が、少しうるさかった。

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