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モストロ海底譚【ツイステ】

第5章 芽生スウィート!




『はいはいはい!三人のー!ちょっとイイとこ見てみたいー!』


エリーが、軽快な手拍子と共に音頭をとる。それから四人は揃って腰に手を当やり、その液体を一気に喉奥へと流し込む。


「〜〜ぐぇぇ!やっぱマッジイ〜っ!!」


フロイドは、あまりの不味さを誤魔化す為か、両腕を大きく振って腿上げを始めた。


「〜〜うっ…!」


ジェイドは、あまりの不味さを誤魔化す為か、凄まじい勢いで腹筋を始めた。


「くっ…!!」


アズールは、あまりの不味さを誤魔化す為か、その場で反復横跳びを始めた。


『不味い不味い不味い不味い!!』


エリーは、あまりの不味さを誤魔化す為か、シャドーボクシングを始めた。

これは人魚族が陸で生活するにあたり、絶対に避けることの出来ない通例行事である。それは、定期的な変身薬の服用。
数日に一度、これを飲まなければ彼女達は人の姿を維持出来ない。しかしながら、この薬がまぁ尋常でなく不味いのである。

そういう事情から、四人はこうして定期的に集まり、共に試練を乗り越えているのであった。


「あーー今回もマジ走馬灯見えた。ねぇアズール〜。この激マズ魔法薬、どうにかなんねぇの?」

「確かに、このままではいつか死人が出るかもしれませんよ」

『双子の意見に賛成!アズール、錬金術得意なんでしょ?改良を求むー』


アズールは、まだ反復横跳びのダメージを負っている。肩で息をしながら、ズレた眼鏡を指で押し上げた。


「はぁ…はぁ…簡単に、言ってくれますね。
薬の効能は定着させたまま、味や匂いだけを変化させる。言葉にするのは簡単ですが、実際そう単純ではありません。つまり魔法薬の改良は、難しいし何より…
コストが掛かるんです!」


だから却下です!
そう言い張るアズールに三人は、守銭奴ーケチンボーと、ぶーぶー文句を垂れた。

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