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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第5章 強くなりたい


言ってしまった。
これでは、告白も同然。
でも、これは本心。
わたしは未来を知っている。
助けられるかもしれないのに、側にいられないなんて嫌。
その思いを伝えられたらいいのに。

「…よもや!そこまで慕ってもらえるとは師匠冥利に尽きる!愛、ありがとう!」
杏寿郎は快活に答える。

師弟関係としての思いだと受け取ってくれた。
よかった〜。
安心したけど、ちょっと複雑。
そういう対象には見られてないと改めて突きつけられた感じ。

「俺は着替えてくる!朝餉が済んだら、少し稽古をつけてやろう。ここにいると決めたなら、鍛えるぞ!覚悟しておけ!」
『はい!』

杏寿郎は中庭から廊下へ。
廊下を曲がったところで、ズリズリと腰を落とす。
「…さっきのは何だ?側にいたい?とんでもない殺し文句だ。危うく勘違いするところだったぞ。」
いつもより心臓が早く脈打っている。
愛には気がつかれなかったようだと胸をなでおろす。

「ほら!まだだ!」
『は、はい!』
予告通り、朝餉の後、杏寿郎から稽古をつけられている愛。
「よし!今日はここまで。」
『ありがとうございました。』
杏寿郎はこれから夜の任務に向けて、休息をとるようだ。
愛は自主練習をしたのち、千寿郎と夕餉の買い出しに行く約束をしている。

愛は一人でできることを黙々とこなす。
杏寿郎が指示した内容を忠実にこなす。
頭の中にあるのは、

今よりもっと、強くなりたい。
できるだけ早く。

でも、焦ってはいけない。
自分は凡才だとわかっている。
天才に近づくためには努力あるのみ。
そうやって、今までも努力してきた。
天才と言われる人に対して、わたしは今まで努力で勝ってきた。

元来真面目な性格の愛。
基本的には律儀で、頭の回るタイプ。
また、柔軟性にも優れ、機転も効く。
そんな彼女は自分のことを凡才だと言うが、この上努力までできるとなると、それはもう凡才の域を外れている。
これからどこまで伸びるのか。
計り知れない。

奢らず、自分ができることをコツコツと。
目標は決まっている。
それに向かって、鍛錬あるのみ!
まずは能力を全体的に引き上げ、自分の得意を磨く。

『ようし!集中!!』


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