第10章 ep.09 不気味ワルツ
ミフウ
「おや、リディア。可愛いイヤリングしてるじゃないか」
リディア
「あ、これ?ヴィンスから貰ったの」
ミフウ
「そうなのかい?良いセンスしてるじゃないか」
ヴィンス
「そうだろう?…と言いたい所だがリディアが見ていたやつをあげただけさ」
翌日、昼食をとり終え全員でコーヒーを飲んでいるとヴィンスがプレゼントしたイヤリングをしている事に気が付いたミフウが、隣に座るリディアへ笑い掛ける
向かいで視線を向けられたヴィンスは、もう普段通りの彼に戻っていて柔らかく笑んでいたがフリントとノムはどこか面白く無さそうな表情を浮かべて言葉を発さない
ミフウ
「へぇ、良いな。…リディア、あたしとも出掛けようか…と言いたいが今日は予定があるからね。あたしの部屋で話さないかい?女同士で」
悪戯をするような笑みをリディアに向けると、彼女は肩を揺らして笑いながらも頷く。
リディア
「人と居るの長続きしなかったから、女同士の会話…ってちょっと新鮮な響き」
ミフウ
「そうかい?」
あのあと二人でミフウの部屋へ向かい、椅子に腰掛けながらリディアはミフウへ視線を向ける
ミフウ
「リディアはさ、恋ってしてるのかい?」
予想していなかった言葉にリディアはきょとんとする
リディア
「んー…私あまり長い間、人と居た事ないし…もし人間を好きになったら、どうしたって私の方が長く生きるし…吸血鬼にも私は理解してもらえる人が少ないから、少し難しくて…っていうのは多分、言い訳で…私なんかが恋しても良いのかなって考えててそういう気持ちがどうなのか正直、分からない」
ミフウ
「成る程、ね。あたしも自分の変な能力考えたら受け入れてくれる人なんて一握りなんだろうけどさ…恋ってしても良いのか悩むものじゃないと思わないかい?」
リディア
「悩むものじゃ…ない?」
ミフウ
「そう。あれって気付いたらしちゃってるもんさ」
リディア
「へぇ…ミフウは気付いたらしちゃってた?」
少しだけ身を乗り出して目を輝かせて問い掛けてくるリディアの言葉にミフウは思わず笑いを吹き出してしまった