第5章 色変わりの刀と初任務
「更紗?!なぜ任務後に藤の花の家紋の家に寄らせていただかなかったのだ?!こんなにボロボロになって……」
どうやら地面から救い出してくれたのは先に戻っていた杏寿郎だったようだ。
隊服姿なので、杏寿郎も帰ったところなのかもしれない。
「杏寿郎さん……お帰りなさいませ。ご無事で何よりです」
「あぁ、ただいま」
笑顔で返事をすると、杏寿郎は更紗がもたれられるように横抱きにしてやる。
「更紗もお帰り。よく戻ったな」
杏寿郎の温かさにホッと息を着いたところに、賑やかな足音が近付いてくる。
「お出迎えが遅くなってすみません!父上と物置を片付けていまして……え??更紗さん大丈夫ですか?!泥だらけですよ!!」
「何だと?!おい、手に怪我してるぞ!杏寿郎!!ボサっと突っ立っとらんで早く手当てしてやらんか!!」
「よもや!!俺の無事を喜んでくれるのが更紗だけとは!!」
「早く行かんか!!」
父親の怒声に驚くでもなく焦るでもなく。
冷静に受け答えをして家の中に入り、いつもの手当ての部屋へと進んでいく。
「お手間を取らせて申し訳ありません」
「手間ではないのでそこは謝らなくていい!だが、君が元気になったらお説教だ!」
おそらくボロボロになって帰ってきたことだろう。
「はい、かしこまりました」
叱られる為に元気にならなくてはいけなくなってしまった。