第17章 歪みと嘘
もちろん杏寿郎としても更紗には無茶をして欲しくはないし、怪我をして痛い思いも辛い思いもして欲しくない。
だがそれを抑制させてしまえば、きっと更紗は動けなくなってしまう……それこそ怪我だけで済まず命を落とす危険性がある。
「……全身穴だらけになった姿とか水の檻に閉じ込められる姿、俺はトラウマになりそうですよ。水の檻は俺を庇ってだったから強く言えないけど」
「何?!そんなことがあったのか?!ふむ……叱りたいところだが今は元気であるし……」
「倒れましたよ!やっぱり麻痺毒抜けてないんだよ!」
杏寿郎が慌てて更紗を視界に映すと、無一郎の言う通り更紗が倒れており周りが大騒ぎとなっていた。
「すまない、時透!また後でゆっくり話そう!」
それに返事をしようと無一郎が口を開いた時には、既に杏寿郎は地面に倒れていた更紗を抱きかかえて鉄穴森に休ませる場所があるのか確認していた。
「あれだけ棘刺さってたらそうなるよね。でも約束通り皆で会いに来てくれた……生きててくれて良かった!」
禰豆子の太陽克服、里の被害など考えなくてはいけないことや後処理などは山ほどあるが、上弦の鬼をここで2体倒して合計3体を葬ったことになる。
鬼殺隊の悲願である鬼の滅殺に近付けた1日となった。