第23章 第23話 蜘蛛の糸@
千歳「は…」
物音を立てないように、廊下を進む。
何とか一期一振から解放され、出産の際に新設した審神者専用の風呂場へと足を運ぶ。
手早く着物を脱ぎ捨てて、湯殿へ向かう。
早く忘れてしまいたい。
彼に遺された痕跡を一刻も早く消し去りたかった。
ガシガシと傷が付く寸前まで肌を擦る。呼び起こされた記憶に蓋をするように。
自分の中に遺された大量の白濁を全て掻き出しても、不安が拭えない。
一度刀剣男子の子を身籠った身だ。
例え、つい最近夫と肌を重ねた後とは言え、今回の事で妊娠したとしてもおかしくはない。
湯船へ浸かり、身を縮ませて、震える身体を必死でおさえる。
大丈夫、大丈夫…何もなかった、全ては悪い夢だ、と必死で思い込む。