第2章 生命尽きるまで
━━━━━夢を、見ていた。
永く短い、幸せな夢。
「……………」
ピ ピ ピ ピ ピ
目が覚めた瞬間聞こえた、無機質な機械の音。
鼻につく、消毒の香り。
固まったように動かない、鉛のような身体。
初めて見る、真っ白い天井。
「…………」
戻ってきた。
朧の中で沸き上がる感情。
瞬時に理解出来た。
ここがどこで、どーなったのか。
目が覚めた途端にすべてが、走馬灯のように朧の中へと流れ込んできた。
もう、いないのだ。
と。
自分はまた、愛する人を犠牲にして生きるのだ、と。
生きなければならないのだと。
(嘘つき)
(ルゥの、嘘つき)
願い、聞き入れたって、言ったのに。
喉から繋がる呼吸器のせいで。
泣くことさえも敵わずに。
身体を動かすことも敵わずに。
だけどひたすら心で泣き続けた。
愛する人を想って。
もう、会うこともない彼を、想って。