第41章 ※ 甘い時間
目を覚ますと、御幸くんは隣にいなかった。
服をちゃんと着せてくれているのには赤面した。
全部見られているのは知ってるけど、またなんとも言えない恥ずかしさ。
また御幸くんの服を着ている事で恥ずかしさは倍増。
どこ行っちゃったのかな。
御幸くんの部屋を出て覗いてみると、キッチンでエプロン姿の御幸くんを見つけた。
「どこ行ったのかと思った。」
背中にピトッとくっついて後から抱きつく。
「おっ、起きたか。まだ寝てて良かったのに。身体しんどくない?」
「多少腰が重いけど、大丈夫。」
「喉乾いただろ?」
麦茶を冷蔵庫から取り出してコップに淹れてくれた。
「いたれりつくせりで…ごめんね。」
「アレだけ喘げは喉も乾くって」
「もう!それは忘れてよ…」
ポカポカ御幸くんの胸板を叩く。
「忘れるわけねぇだろ。こんなに幸せな気持ちなのに。」
急に真剣な顔になって、ぎゅぅって強く抱きしめられた。
「でも、俺の服着せたの失敗だったかも…またムラムラしてきた。」
ブカブカのトレーナーに下は下着だけ。
下着は見えてないみたいだけど、かなりきわどい。
「エッチ…」
「男はみんなそうですよ。」
「何してたの?」
「ちゃんちゃん焼き、食いたいんだろ?それの下準備やってた。」
覚えてくれてたんだ。合宿中、疲れきっててそれどころじゃなかったから。
今日作ってくれるんだ。
「手伝う。」
「いいよ。自分の服に、着替えてきな。
父さんもそろそろ帰ってくるかも。」
さすがにこの格好はまずいな…
着替えてキッチンに戻ると材料は切り終わっていて、あとは焼くだけ。
いいニオイがしてきてお腹がグーと鳴った。
お父さんが帰ってきて、おかえりなさいと出迎えた。
手には紙袋。
「これ、舞ちゃんにだってさ。」
お茶碗とお椀、お箸も。
「お客さんとかしばらく来てねぇし、予備のなかったんだよ。
俺、すっかり忘れてたけど、父さんは覚えてたんだな」
「ありがとうございます。とても嬉しいです。」
「またいつでも遊びに来てくれ。一也に作らせて一緒に食おう」
その言葉に御幸くんは、なんでだよって笑ってた。
認めてくれたみたいでとても嬉しかった。
ビールを出してきたお父さんにお酌をした。
うちのお父さんも飲むから、家にいるときはよくやっていたな。
「こんなうまいビール初めてだよ。」
