第4章 サキの術・少年時代2
かかしの2つめの大きな闇…
2人の仲間の死、守れなかった仲間への後悔と自責の念。
自分だけ生きている、生かされた理由もわからず、また孤独にうちのめされている。
ひたすら涙をこぼして、思いのたけを私にぶつける君を、私はただただ、抱きしめた。
抱きしめられた胸の中で、ひとしきり泣き終えた小さな君はなんとか呼吸を落ち着ける。
あまりにもひどく泣いていた君をみて、ここまで感情を素直に出せる相手もいなかったのかもしれないと思った。
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「かかし。少し、落ち着いた?」
胸の中にいる君にゆっくりと問う。
うつむいたまま黙っている。
「‥…サキは…俺のこと…嫌いにならないの?」
「…なんで?」
「俺は、仲間殺し…だから…」
そういって、私を見上げた君の眼はまた悲しみの波がおしよせている。
「私はその言葉ひとことだけで、かかしを嫌いだなんてすぐに切り捨てるほど単純でもないよ。まずは、真実を知ることが重要。でもかかしは…私に話してくれるの?」
「‥‥今は…特別な時間…だろ?きっとサキはまた、いなくなる。だから…話すよ…」
そう言い、君は、話すことさえ拷問のような辛い辛い話を、2人の仲間、オビトくんとリンちゃんの話をしてくれた。
また乱れる呼吸とあふれる涙に、もうやめようかといっても、君は聞かず、日が暮れてすっかり夜になっても、思いのたけを話し続けた。
「かかし、顔…見てもいい?」
「え?…それって、マスクの下も?でも‥前…みたよね?」
「うん、でも今みたいの」
「…今顔ぐちゃぐちゃだよ…ま、でも…サキになら…」
大人になったかかしにしたように、じっと小さな君を見つめて、ゆっくりとマスクを下げていく。