黒子のバスケ(ほぼオールキャラ)の短編集なのだよ!
第2章 運命に乾杯 森山由孝
遥「よくあんなに動けるよなぁ」
体育館の中を、ボールを追い走り抜ける部員たち。
遥「はぁ…」
ドアの隙間から覗いていて、感心のため息が出た。
ヒュー
冷たい風が吹いてきた。
とても寒い。でも……
遥「今日も中に入れそうもないな……はぁ…」
今度は別のため息をついた。
私は、付き合っている森山先輩と一緒に下校するためここにいる。
付き合ってあると言っても、森山先輩は部活で忙しので一緒に下校するくらいしかできない。
だからこの時間は唯一の楽しみだった。
故に寒くても、森山先輩の部活が終わるまで、毎時間ドアの隙間から見ているのだ。
遥「森山先輩は体育館の中で見てもいいって言ったけど、やっぱ無理だな…
黄瀬くんを見にくる子はすごいなー
…っと、あれ?部活終わったかな?」
皆それぞれが片付けに入るのが見えた。
えーっと、森山先輩はどこかな?
森山「お!かわいい子発見!」
え、今の森山先輩の声だよね…?
彼がかわいい子を探すのはいつものことだけど…
今日はどんな子だろ
当然、私よりかわいいよね
そう思い、ドアから覗いてみると…
森山先輩の指は明らかに体育館のドアの方を指している。
後ろに誰かいるのかと思い振り返る…
…誰もいない。
笠松「かわいいって、お前の彼女じゃねーか!」
黄瀬「ほんっと、先輩って遥っちのこと好きっスよね。」
え!?私のことだったの!?
森山「あたりまえだろう。遥と俺は赤い糸で結ばれているからな。」
赤い…糸…?
黄瀬「そのセリフ、多分遥っちもガッカリっスよ」
森山「そんなことはない。俺は真剣だ。
俺の赤い糸の先には絶対にあいつがいる。
俺は、あいつで良かったと思っている。」
そう言い切る森山先輩が見えた。
もう寒くはなかった。暑いくらいだ。
黄瀬「なんか先輩変わったっスね。ナンパもしなくなったし…」
…嬉しかった。
顔が暑くてしかたない。
きっと私の赤い糸も森山先輩につながっている。
私の運命の人があなたで良かった。
運命に乾杯。