第14章 きみは手のひらの上 罪と罰❄︎【善逸・無一郎】
ピンポーンとインターホンが鳴り、わたしはインターホンのモニターを確認する。
そこには無一郎くんと我妻くんがふたり並んで立っていた。
わたしは服や髪型に変なところがないかを軽く確認してからインターホンを出ずにそのまま玄関に向かい、鍵を開けた。
『いらっしゃい』
「椿姫お姉さん、こんにちは」
「お邪魔します」
無一郎くんに続いて我妻くんが家に上がった。
わたしは玄関の鍵を閉めると
『リビングで待ってて』
そう言うとキッチンに向かう。
ふたりは特に会話なくリビングに向かったようだった。
わたしはキッチンで紅茶を淹れて、昨日新しく焼いたクッキーをお皿に出すとおぼんにのせた。
それと濃いめの紅茶とミルクで作ったミルクティと、角砂糖もおぼんにのせるとリビングに向かう。
『お待たせ〜』
無一郎くんと我妻くんは隣同士に座り、勉強道具を開きこの短時間で少し進めていたらしいが、手が止まっている。
「椿姫お姉さん、分からないところがあるんです…教えてください」
無一郎くんは上目遣いでわたしを見上げる。
我妻くんも困ったような表情を浮かべているのを見ると、我妻くんも分からないところがあるらしい。
『うん、いいよ。わたし勉強道具上に置いてあるから、とってくるね』
わたしはそう言うと階段をのぼり、自室へ入った。
休み中の勉強道具と必要そうな教科書と参考書を手に取り、部屋を出た。
『お待たせ〜。どこが分からないか教えてくれる?』
無一郎くんの目の前に座り、無一郎くんの方に身を乗り出す。
「こことここです」
無一郎くんは少しだけ困ったような表情でそう言った。
わたしは分かりやすく教えつつ、我妻くんの方を見るとこちらを見ていた。
『我妻くんはどこが分からないのかな?』
わたしが聞くと我妻くんはおずおずといった感じで答えた。
「…数学と英語全般ダメなんだ…」
『うん、じゃぁ全部って感じかな』
わたしたちはひとつひとつを確認しながら、どこが理解できていないのかをみていった。
無一郎くんは理解が早く、教えるとすぐにできるようだ。
我妻くんは基礎はほぼ理解している部分があるが、応用ができていないようでよくつまずく。
少し休憩、と紅茶を飲み込むと次第に意識がぼんやりとしていく。
『あ、れ…?』
わたしの意識がぷつりと途切れた。
❄︎
