第14章 きみは手のひらの上　罪と罰❄︎【善逸・無一郎】

学校から帰るとすぐに制服からルームウェアに着替え、ポニーテールに結っていた髪の毛を下ろす。
予習をしようと勉強道具を広げ、勉強をしているときにインターホンが鳴った。

『誰だろう…ネットで物は頼んでいないし…』

そう思うと明日から立ち上がりインターフォンのモニターを確認すると、そこにはわたしによく懐いている弟的存在の無一郎くんが制服姿のままそこに居た。

『はーい』
「こんにちは、椿姫お姉さん。無一郎です」
『少し待ってね』

そう言うとインターホンをぷつりと切ると、急いで玄関に向かう。
パタパタと鳴るスリッパを気にすることなく、玄関の扉の鍵をガチャリと外し扉を開く。

「こんにちは、連絡しないで来てごめんなさい」
『ううん、大丈夫だよ。上がって』

無一郎くんは制服姿のままだったが、ここに来る前に置いてきたのか学生鞄は持っていない。

「お邪魔します」
『どうぞ。先にリビングに行ってて。わたし、飲み物とかお菓子持って行くから』

わたしは扉を閉めると、鍵を閉めてからキッチンへ向かった。

どうして無一郎くんがここに来たのか考える。
これからの進路のことを相談しにきたのかなーと考えつつ、紅茶を淹れてから昨日焼いたプレーンとココアの市松模様やマーブル模様、うずまき模様のクッキーをお皿に出した。

用意が終わるとおぼんを持ち、キッチンからリビングへ移動する。

『お待たせ。はい、どうぞ。昨日作ったクッキーなの。美味しいといいのだけれど』
「ありがとう、椿姫お姉さん」

紅茶の入ったティーカップとクッキーを乗せたお皿を無一郎くんの前に出すと、可愛らしい笑顔をこちらに向けてくる。
うん、かわいい。
わたしは自分の分もテーブルに置くと、無一郎くんの向かい側に座り、頬杖をつき無一郎くんを見据える。

『今日はお勉強じゃないよね。なにか相談事かな？』

わたしに弟がいたらこんな感じかなーとか、そう思いながら口を開いた。

「今日はお願いがあって来たんだ」
『お願い？』
「うん、お願い」

無一郎くんは真剣な顔でわたしの瞳をじっと見据えた。

「夏休み中、僕に宿題を…ううん、勉強を教えて欲しいんだ！」

真剣な表情で無一郎くんはそう言った。

『わたしの用事がないときならいいよ』

わたしはそう言うと無一郎くんは満面の笑みを浮かべた。

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