【ハイキュー!!】排球人生死愛箱【ハッピーシュガーライフ】
第12章 卒業式では桜が枯れていた
「#れいか#、卒業おめでとう」
「うわ、うわうわうわ。なにこれうわ。取り敢えず卒業おめでとう。待って綺麗ですねモデルですか?」
『二人共ありがとう。クロ情緒不安定?』
孤爪と黒尾は学校の終業式を終え、前まで通っていた奏城小学校へ向かった。向かうと、袴姿#れいか#が生徒に囲まれていた。保護者達もれいかの美しさに驚いているようだ。
茶色桜柄の黒のエンジ袴に、ハーフアップで着飾っている#れいか#は一人一人に微笑んで話を聞いている。
「#れいか#ちゃんの袴素敵!何処から借りたの?」
『実はお母さんが買ってくれたものなの!素敵でしょ?』
「へぇ〜!うん、#れいか#ちゃんにピッタリ!#れいか#ちゃんのお母さんは何処にいるの?」
『さっきまではいたんだけど、仕事が入って帰っちゃったみたいなの』
「そっかぁ……見てみたかったなぁ、#れいか#ちゃんのお母さん」
ふふ、と違和感が微塵も感じなく微笑みながら話す#れいか#を孤爪はじっと見つめた。黒尾は急いで#れいか#を呼び、#れいか#は黒尾の方をみると、皆に別れの挨拶をする。名残惜しいと思う人達にまた中学校の始業式で会おうと手を振った。そして話は序に戻る。
『態々迎えに来てくれたの?』
#れいか#は黒尾と孤爪に言いながら歩き出す。歩く度視線を独り占めして、一つ一つの動きに気品がある。
「うん。……ねぇ#れいか#。#れいか#は学校で叔母に引き取られてること言ってないの?」
『え?あー…うん。だって戸惑うかもしれないでしょ?なんで?』
「……言い方に、違和感が無かったから」
『……そう?気の所為でしょ』
この言葉も、何もかもに異変が無いことに、孤爪は#れいか#の横顔を見つめる。相変わらず美しくて、儚げで、つい手を握ってしまった。何か、とか言えないけれど一瞬不安が心の中で渦巻いた。
「#れいか#も念願の中学校だな!あー中学もバレーにマネージャーがあれば良かった」
「……。まぁ中学はないからね」
別に#れいか#じゃないんだったらいい、とぼそっと声をもらす孤爪に黒尾は声には出さないが心の中で同意する。
#れいか#は二人共に握られる手を、一度も握り返した事がない。冷え性なのか知らないが、昔から人より体温が低いと言える。桜の木を一瞥すれば再び会話を始めていった。