第5章 伍.来世に繋ぐ物 ※
《手記 後書き》
残念ながら私たち夫婦は子供に恵まれなかった。
しかし輪廻転生を信じ、来世でもまた会えるようにと赤い糸を互いの左足首に括りつけて余生を謳歌した。
一足先に逝った珠世さん、悲鳴嶼さんと、他の鬼殺隊員の墓参りには毎年必ず行った。
とてつもなく時間がかかった。
それほど犠牲を出しながら得たこの平和な世の中なのだから、来世できっと会えたら何不自由なく幸せに過ごせるはずだ。
夫はもちろん、みんなにも会いたい。
皆の子孫に会えたらきっと泣いてしまうだろう。
この手記を、いつか生まれ変わった私が手にするのか、実弥さんが手にするのかは分からないが、宇髄さんに預けよう。
あの人は奥さんが三人もいるから、子孫に託して来世まで残してもらえるようにお願いするつもりだ。
今も幸せだった。
守れた命を誇りに思う。
ありがとう、皆、ありがとう、実弥さん。
ーーーー鬼殺隊 甲
「宇髄天元っていう人が、天満のご先祖さま?」
「じゃねぇの?」
「……はさんである集合写真、そっくりな人いるね」
「お前にも、お前にもそっくりなやつ、ほらここ」
「ほんとだなァ……」
「生まれ変わり…なのかな」
「星の呼吸って、今も指南書みてやろうと思ったら使えんのかなーって思いながら見てたんだよね」
「今じゃ悪は法が裁くんだ、俺たちが手を汚すことはねェからなァ」
「ひゅーーーかっくいいねぇ警察さんよォ」
「てめェなめてんのかぶち殺すぞォ」
「おーこわ。シンガーソングライター星さんもその指南書からとった名前ってことだよな」
「うん、なんか他人事とは思えなくて」
「俺もこの指南書書いた人とお前が無関係だと思えなくて渡したからね」
「生まれ変わりだろうと子孫だろうと、きっとこの世のどっかにいて知らねェうちに会ってんのかもしんねェな」
「……うん、想いが報われてたらいいな」
「顔がそっくりな人がここに四人いる時点でもうほぼ報われてると思うわ」
「んふっ、そうだね」