第10章 2人の秘密基地
「クッションとか欲しいですね。
お昼寝できるように、おっきなやつ!買っちゃおうかな」
「それがあったらお昼寝以外にも、もっと大人なこともできちゃうね」
つ、とわざとサクの頬から首筋までをゆっくり指でなぞると、サクが一気に赤くなる。
「そっそんなこと言ったら、置けなくなっちゃうじゃないですか!!先輩のバカ!!」
分かっているけど、もうちょっとからかいたいから知らないフリをする。
「なんで?」
サクが真っ赤な顔でオレを睨みつける。
「っっ!もう!分かってるくせに!からかわないでください!!」
拳を振り上げたサクの手を掴んで抱き寄せる。
「もー!そんなんじゃ、ごまかされません!!」
体をよじって逃げようとするサクを力を込めて抱きしめて逃げられないようにすると、口布をずらし、その唇にむりやりキスをする。
いつもより、少し長く。
サクがオレの服を掴む。
オレしか知らない、キスの時の可愛いサクの癖。
そう思うとさらに愛おしくなり、息継ぎのタイミングでそっと舌を入れてみる。
ビク、とサクが僅かに震えたが、抵抗がないのでそのまま口内を舐め、舌を絡め取る。
「んっ……、ふ……」
サクの吐息ともつかない小さな喘ぎ声が、キスの水音に混ざりさらにオレを煽っていく。
あー、ヤバい。
これ以上やると、理性、もたないかも……
一度唇を離し、名残を惜しむようにもう一度触れるだけの口づけを落とすと、ゆっくりと唇を離し、サクを見つめる。
目を潤ませて溶けた顔になってしまったサクの頬をそっと撫でて、すっかり力の抜けてしまった体をゆったりと抱きしめる。
「サク、好き」
「もう、先輩ずるい……。
こうしたらわたしが何も言い返せないって、わかってやってますよね」
オレの胸に顔を預けたサクが、赤い顔で呟く。
「どうだろね」
サクの小さな頭をあやすように撫でながら、曖昧に返事をする。
本当は可愛いからしたくなって、したんだけどね。
悔しそうなサクの顔を見ながら、大切にしたいけどあまり我慢できそうにないかも、とコッソリ思った。