第19章 帰郷
喉が乾いて目が覚める。
カーテンから覗く空は薄明るくて、夜明けが近いことがわかる。
まだ起きるには少し早い。
休み2日目の昨日はカカシは任務で、わたしは三代目やサスケやナルト、里の友達に会いに行ったりして過ごした。
変わらないみんなに会ってすごく元気をもらえて、改めて里がわたしの故郷なんだと実感した一日だった。
昨日の深夜に帰ってきたカカシは、今はとなりでうつ伏せになって静かに眠っている。
カカシの腕が肩にのっているのが少し重たい。
風見鶏の家に行ってから、カカシがふたりで寝やすいように大きなベッドに買い替えてくれてかなり広くなったのに、わたしたちはシングルベッドの時の癖が抜けないのか、いつの間にか引っ付いて寝てしまう。
温かいし安心するし、いいんだけど。
カカシの匂いのするベッドは、抱きしめられているようで本当に安心する。
肩にのった腕を起こさないようにそっとどけながら、体の向きを変えて静かに眠るカカシを見る。
一緒に眠るようになってすぐは、わたしが身じろいだだけで目が覚めていたのに、今は手を動かしてもカカシの目は覚めない。
隣で安心して眠ってもらえるようになったって気づいたときは、すごく嬉しかった。
気づけば長い間カカシと一緒に過ごしてきた。
暗部に入って最初は先輩として、付き合うようになって、結婚して夫になって……。
あっという間で忙しい毎日の中に埋もれてしまいそうになるが、カカシと過ごした日々はずっと幸せだった。
今日のお昼頃にはもう帰らないといけないと思うと、きゅう、と胸が切なく疼いた。
長く過ごせば過ごすほど、いつも離れがたくなってしまう。
自分で決めたことだし、私がそんな弱音を吐いちゃいけないんだけど、今だけは甘えたくて、カカシの手に顔を寄せた。
すると、カカシがゴロリと体制を変え、わたしを胸に抱き寄せた。
「……目、覚めちゃった?」
カカシがわたしのおでこに唇をつけながら、掠れた声で言う。
「ごめん、起こしちゃったね」
「ん、平気。
でも今日は移動が長いし、もうちょっと寝なきゃ……」
「……うん」
カカシの胸に顔を埋めて規則正しいトクトクという心臓の音を聞いていると、瞼が自然に落ちてきてわたしはもう一度眠りに落ちた。