第21章 ジョゼフ編 (新)
「ん……」
そっと、目を開ける。
確か、私は試合をしてたはず。なんでこんなところに…
「いたっ」
頭が、ズキズキする。状況を理解しようと、辺りを見回す。
私が今眠っていたのはベッド。その周りには、カメラや絵画、サーベルなどがあった。
「……っ」
ここは、ジョゼフさんの部屋だ。私は試合で最後の一人になって、遊ばれたんだ。
『ふふふ。ハッチはもうすぐそこだよ。行ってごらんよ。』
『…っ』
痛む体をすりびいてハッチの近くまで行くと。
『おっと。行かせてあげないよ?』
また吊られて、後ろに戻される。
『もう、吊ってよ…』
『君の姿をまだ見ていたいんだ。そう簡単には吊らないよ。』
その時。
〈地下室の位置が30秒後に更新されます〉
『ほらほら。30秒以内に出ないと、失血死しちゃうよ。早く早く。』
そう言われて、必死にハッチに手を伸ばす。
パッ。
ハッチが消えた。もう出られない。
『あーあ、消えちゃったね。もう出られないね……?』
ニヤリと笑うジョゼフさん。もうだめだ、と悟った私は、そのまま意識を手放した。
『…寝ちゃった。まあいいや。このままハッチ探してあげよう。』
ジョゼフが抱きかかえてハッチを探してくれたのを夏葉は知らない。