第61章 夜※
そこでようやく善逸は気が付いた。
光希は善逸の想像以上に体調が悪かった。おそらく行為を始めるずっと前から。
「大丈夫か?光希、光希っ!」
なかなか濡れなかったのは、そういうことだ。
「しっかりしろっ!」
早急にしゃぶりついてきたのも、もし途中で自分が倒れて終わってしまっても、せめて一度善逸を満足させておきたかったのだろう。
揺すっても光希は寝たままである。
光希は自分を飲み込んだままなので、彼女を揺するとその動きが自分への刺激になる。
「……くっ、」
善逸はその快感に眉を寄せて、取りあえず光希を自分から下ろそうとする。
持ち上げようと腰に手をあてると、意識のないはずの光希の手がぴくっと動いて、善逸に抱きつこうとした。
まるでそれは、やめないで、と言っているかのようだった。
思えば光希は、やめないでと繰り返していた。
善逸は、頭を気をつけながら、ゆっくりと光希を羽織の上に寝かせる。
その時に光希の中から抜けてしまう。
……こんな状態のお前を抱くなんて、無理だろ
善逸はそう思いつつ、猛りきって快感を求める己のことも気になる。
……いや、こんなの自分で処理すれば
自分の身体の下で眠る光希を見下ろす。
「……ね、起きてよ。どうしたらいいの、俺。結構限界よ?」
善逸は、光希の下腹部に指を伸ばす。
足を軽く持ち上げて、秘部にそっと指を入れる。
果てたからか、トロリと濡れている。
ちゅくちゅくと指を動かしていく。
愛液が指にまとわりついてくる。
「ねえ、光希。やめないでって言ってたけど……挿れていいの?教えてよ」
指の動きを速める。
そこも、善逸を受け入れるために潤いを増していく。
状況としては、無し。
光希の希望としては、有り。
人の意見はあくまで参考。自分がどうしたいか。
………俺は、抱きたい。ごめん
善逸は光希の足の間に身体を入れた。