第43章 覚悟 2
「善逸、話って、」
光希が話を始めようとしたとき、目の前が宇髄の右手で塞がれる。
宇髄は光希を庇うように立つ。
「おい、善逸。なんの話か知らねえが、これ以上こいつを傷付けるようなら、許さねえぞ」
「天元さん……」
「お、俺は、さっきのことを謝りたくて!」
「浮気なことしといて調子いいなぁ、お前そんなに良いご身分なのかよ。例え光希が許しても、俺は許さないぜ」
「ちょっと、天元さん。なんであんたが……」
光希が宇髄を止めようとするが、宇髄はちらりと彼女に目線を送る。
……ん?任せろってことか?
光希はそう感じ取って、黙る。彼に任せてみることにした。
「なあ、善逸。お前、こいつが柱たちと一緒にいるの見て何とも思わなかったわけ?」
「……くっ」
「あのな。もうこいつはお前とは違うところにいるの。立場が違うんだ。わかるか?」
「……わかって、ます」
「じゃあ、蝶屋敷に戻れ。行くぞ、光希」
宇髄は光希の手を掴み、連れて行く。
数歩歩いた時、閃光が瞬き、宇髄の元から光希が消える。
善逸は光希を抱きかかえて、冷汗を流しながら宇髄を睨む。
「なんの真似だ」
「光希は…連れて行かせない」
「そいつが何者かわかって言ってんのか。脳みそいかれてんのかお前。今すぐ離せ」
「嫌だ」
「…子どもか」
「善逸、下ろして」
「光希……」
「下ろして」
光希に言われて、善逸は彼女を下ろす。
「ありがとう。謝りに来てくれて」
「光希、ごめん」
「わかってる。気にしてないよ」
「いや、ねえ、ちょっと……」
手を伸ばす善逸から、するっと離れる光希。
「光希、こっち来い。戻るぞ」
宇髄が、呼ぶ。
「光希、行くな!こっちに来い!」
善逸が呼ぶ。
二人の間でじっと立つ光希。