• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第25章 明日の命※


この家にはそこそこの大きさのお風呂があった。
湯船は一人用だが身体を洗う場所は広い。

とりあえず部屋で足を伸ばしていると、「光希、お風呂わいたよー」と嬉しそうな声が聞こえる。

「先に入ってるから、入ってきてねー」と言われ、着替えや手ぬぐいを持って風呂場に行く。
脱衣所には善逸の隊服が畳まれており、中からは鼻歌と水音が聞こえる。


光希は上着を脱ぐ。畳んで置く。ベルトを外す。白いシャツの釦を外す……
そこまでやって手が止まる。


……いや。無理。裸になって風呂に入って行くとか果てしなく無理



顔を赤くして脱衣所でうろうろしていると、「まだー?俺のぼせちゃうよー」と声が聞こえる。

それでも脱げないでいると、ガラッと風呂場の戸が開く。善逸が髪をかきあげて、顔を出す。


「遅いよ」
「善逸……」

「もー、早く入ってきてよ」
「……無理ぃ…」


光希が涙目になると善逸は慌てる。


「ごめん、光希。泣かないで。意地悪し過ぎたね」
「恥ずかしすぎる。やだぁ……」

「俺も恥ずかしいんだよ。だから大丈夫」
「…………」

「脱げないの?」
「……脱げない」

「じゃ、俺が脱がしてあげる」


善逸が光希に向かって手を伸ばす。

咄嗟にシャツを抑えてその手を避ける光希。


「何で逃げるの」
「だって……」
「一緒に入るって約束したろ」

憮然とする善逸。

「約束、破るの?」
「…………」
「逃げるの?」
「…………」

「剣士だろ」

善逸は知っている。
こうすれば光希は絶対に逃げない。


「約束は守る。逃げない。でも」
「でも……?」

「ぬ、脱げないから、やっぱり脱がせて」


顔を真っ赤にして呟いた。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp