第2章 ネックレス💎
晴香『結婚詐偽…。』
晴香は鏡に消える前の彼女を思い出す。
あの時…この人はある人を見ていた。その人は、私のバイトの先の先輩で、とても良くしてくれた人だった…。
その人は、仕事場の人にも慕われていて、みんなの憧れだった。分からない事があったりすると、分かるまで丁寧に教えてくれたり、失敗した人がいると、その失敗をちゃんとフォローしてくれたりする人だった。
八雲『どうかしたのか? 君が、無い頭で考えてもどうしようもない。何か気付いた事があるなら、僕にも話せ。』
晴香『うーん、私がこの人を見た時、この人がある人を見てたの。』
八雲『ある人…?』
晴香『うん、私のバイト先の先輩なんだけど。その人を見てたの。その顔を思い出すと、結婚詐偽なんてする人には見えなかったんだよね…。』
晴香のその言葉を聞いて、八雲が写真とネックレスを交互に見た。
後藤『まぁ、どうゆう経緯で結婚詐偽なんかに手出したのかは分からんが。そのせいで、色んな奴らから恨みを買っていたのは確かなようだ。』
そう、後藤が二人に説明する。
晴香『そうなんですね…。こんな素敵な笑顔をする人なのに…。』
それに、写真の中の彼女は、今、私達の手元にあるネックレスに、大切そうに手で触れていた。
八雲は、晴香が写真を見ている間も、ネックレスを見ている。
シンプルな見た目で、トップはハート型になっている。そのネックレスを見ていた八雲が、トップのハート型の部分に繋ぎ目がある事に気付く。
晴香『八雲君、どうかしたの?』
八雲『ここの所をよくよく見ると、繋ぎ目があって、わずかだが、開(ひら)けるようになっている。』
晴香『えっ…。』
と言って晴香も、そのネックレスの、トップのハート型の部分を覗きこむ。